古地図オリエンテーリングで歩測した話 序盤編 (①~⑥)

こんにちは、Club阿闍梨 田中 健太郎です。

本記事は、Club阿闍梨AdventCalendar 2019の12/11向けの記事です。他の方の記事はこちらからご覧ください。

adventar.org

「古地図オリエンテーリングでほぼ全区間歩測した話」を書きます。長いので3回に分割します。

12/10に国土地理院の地図の利用規定が緩和されて、地図の利用基準が緩和されました。これによりWebサイトに地図を記載する際の要件が緩和されました。

https://www.gsi.go.jp/chizujoho/chizujoho61002.html

あわせて、大会の地図作成をしたオリエンテーリングクラブ「野川のカルガモ」の後閑さんからも地図利用の許可を頂けたため、2019/11/16に実施された「東京アーバンアドベンチャー2019 ファンタジスタ x 野川のカルガモ 夢の競演!!」の大会地図を掲載しながら、大会参加のレポートを記載します。単純に地図が付いたら雰囲気が伝わるかというと、そうでもないと思いますが、ちょっとは雰囲気が伝わればと思います。なお、特に本文中記載がないところも基本的に歩測していました。古地図オリエンテーリングって何?と気になってる方に参考になればと思います。

古地図オリエンテーリングとは?

明治時代とか、過去の地図で現代を走っちゃおうっていう競技です。

会場で古地図と、CP(コントロールポイント)の写真と説明文を受け取ります。現代地図は使えません、スマホ等も不可。ただし、CPの説明文に書いてある情報(例:3丁目の交差点)をもとに探すのはOK。

東京は比較的地形が残ってるので、なんとかなるってことになってます。ただ、今回対象になった地域は比較的地形が薄いので、ある程度ナヴィゲーションのレベルがあるか、線状特徴物(用水が道路になってるところや緑道)がわからないと辛いです。

「ああ、これは玉川上水の跡ですか?」「ああ、この緑道は川だったとこですね。」というブラタモリタモリさんのコメント見たいなのを、キロ4分からキロ8分くらいで走りながら、心の中で呟きながらやります。高速ブラタモリ

オリエンテーリングなので、地図に記載された番号を順番にまわります。

今回は直線距離18kmの競技ですが、迷ったので私は実走35kmくらい走りました。

歩測とは?

2歩1カウントで、ストライドを掛けて距離を測ろうとする伊能忠敬的なあれです。*こういう適当な事を書くと多方面から突っ込みが入りそうですが、一般ウケを優先します。いやまあ一般人こんな記事読まないかもしれませんが、できるだけ多くの方に興味を持ってもらえればうれしいです。

なんで歩測したのか?

今回のエリアは豊多摩=渋谷区、中野区、新宿区なのですが、地形が結構微妙で読み取れないことがあるので、行き過ぎた場合に大体どの辺にいるか知りたかったからです。まあ、トップ選手とかは地形と速度とかで大体どの辺にいるかわかるらしいのですが、私は後述(3回目予定)のようにどこにいるかわからず右往左往することがあるので、測って安心。なお、GPSはログを取る以外は利用不可です。

結果どうだったのか?

劇的に遅かったです。500mに1回は現在地が正しいか確認して、ルートを再度確認してたので、それはもう。止まってる時間が長すぎ。

🐇の歩測方法

私の場合、キロ6分で走ってる時の走行時のストライドが1歩1m。速い時は1.2m~1.25mなので、 10歩に1回指を折って(2歩で1回なので20m)、5カウントで100m。と4カウントで100mと100m単位でまとめるようにしています。20mから50mくらいは目測してしまうのと、実際に400~500mを測ることが多いのでこうしています。

走行中に距離計算すると、普通に忘れるので実用的なやり方で今はこれが限界。今回は練習的な意味もこめてやったけど、全編歩測は遅すぎるので普通にしません。ちなみに早すぎると数え切れなくなるのでキロ4分40秒とかで歩測は無理でした。

表記に関する補足

本文書中ではナヴィゲーションインストラクター資格を持つ柏樹さんが複数回出現するため、面倒なので通称として🐧先輩と記載しています。(読み方はペンギン先輩)。途中まで並走してるのは、走力差があるだけで、🐧先輩の方がナヴィゲーション能力は数段上です。あと、別でやっているブログに合わせて、以下主語は🐇(うさぎ)です。この表記には加齢臭を抑える効果がありますが、途中で著者の写真がでてくるので台無しです。

蛇足

当初普通にルート解説的な記載をしていたのですが、試しに読んでもらった方から「なんでこれで移動できるかわからない。」と言われたので、ちょっとくどいくらいに根拠を書きます。残念ながら途中迷走しているので、古地図競技で迷ったらどうなるか?もイメージしていただければと思います。

では実際の競技の様子をご覧ください。

スタート地点まで

 大会当日、会場のせたがや がやがや館で地図とCPの説明を受け取り、きれいに染まったイチョウ並木を見ながらスタートへ向かう。天気は快晴で、11月にしては気温もそこまで寒くない。走るなら短パン、半そでで、トレラン用のザックを背負うことで体温的にはなんとかなる気温。

f:id:AjariCalender:20191207222707j:plain

Club阿闍梨 木村さんがスタート時間を決めてくれる。2枠目で、🐧先輩と同じスタート。

f:id:AjariCalender:20191207223103j:plain

 スタート地点の国土地理院跡の写真を撮ったら、スタート。これ以降、ビルの中を明治時代の地図とコンパスを頼りに移動する。地図にある道があるかわからないし、地図には書かれていないビルや道路に惑わされないようにしないといけない。現在地ロストした時の虚無感と、CPが無事見つかった時の安堵感は普段なかなかない感覚。現ロスするのが住宅街の中だったりするので、山で藪を漕ぐのともちょっと違う緊張感。

△(スタート)→1  

f:id:AjariCalender:20191123181334j:plainGarminのスタートを忘れてたのと、バタバタしているうちにエリアからの脱出に失敗。うまく道に乗れず、流されて緑道の東側へ。地図には表れていないが、246を渡れる場所が限られるので、思った以上に東に流された。緑道の分岐から歩測で距離をカウントしてCPを見つける。CPの写真はぺんぎん。同時スタートの🐧先輩はさすがにいない。レッグ線(ピンクの線)に沿って最短距離を取った模様。

f:id:AjariCalender:20191124062423j:plain

川(緑道)の分岐は以前のCPだったことがあるので覚えてる。知ってる地域だと競技としての公平性みたいのはあるかもしれないけど、トップレベルの人たちは知ってても追い抜けないくらい速いのと、忘れるのは不可能なので気にしない、使えるトリビアは使う。CP後の信号で1分前スタート組みの数名に追いつく。

 1→2

f:id:AjariCalender:20191123181256j:plain

尾根を越え、道を使って沢(現在道路)に降りて、角から歩測。歩測のカウンターがあってなくて200mくらい手前で学校を探すも、説明文に記載の学校らしい場所がないので恐る恐る先に進んでCP発見。CPはコンパス! 

f:id:AjariCalender:20191124073236j:plain

歩測を含めた距離推定の精度が低いのに不安を感じる。

2→3

f:id:AjariCalender:20191123181517j:plain

ロングレッグ。玉川上水が線状特徴物(横切る際に気が付く特徴)としてあるので、最悪その辺で調整するつもりで移動。

大会後の会場ではトップ3選手(入江さん、柳下さん、村越さん)が「右の沢と左の沢のどちらが早いか」という高度な解説をしていたが、🐇はといえば、気が付いたら右の沢を詰めており、沢を出たとこで若干混乱。

あいまいな記憶をたどっていくと、沢の際をたどろうとして、井の頭線に行く手を阻まれ、沢をつめるプランに変更した上、途中から地形が薄くなったのに焦ってサム・リーディングの指を外したタイミングでどの沢を詰めたか一瞬わからなくなった模様。

ちなみに、地図上「南笹塚」と書かれている辺りが笹塚駅の駅前なのと、玉川上水は大体知ってたので最悪この辺りまでは雑に走っても調整するつもりだった。

ここからは注意深くアプローチ。玉川上水跡の少し北にある道と、その次の玉川上水新水路跡の道路までを注意深く移動して、尾根にのったあとに歩測で距離を測って、おおよその場所を探す。

f:id:AjariCalender:20191124062336j:plain

「この辺かな?」のエリアで発見。しかし、うろうろしそうになる直前でみつかったのでラッキー。

3→4

過去の「ロゲイン豊多摩今昔物語」の地図で、「この辺にあったら嫌だなぁ」と思ってたまさにその場所にCPが置かれている。要は難易度が高い。なんでこのCPが嫌かというと、周辺に地形的な特徴がないから。のっぺりしている。しかもCP4はマンホール。当たり前だがマンホールは遠くから見えない。やっぱり、神社みたいに遠くから見えるCPが好き。

f:id:AjariCalender:20191123181544j:plain

幸いなことに3→4の間に「ロゲイン豊多摩今昔物語」でのCP(一本松の庚申塔)があって、左から3個目の赤い点のあたり、この辺の地形を知っていたので、一本松の庚申塔との地形的な特徴を中間点にしてそこから歩測。オーバーラン怖いので、歩測カウンターで止まりながら進む。赤いところは速度が落ちて止まっているところで、5個目の赤い点で北に進むか、東にまがるかうんうん検討。CPの説明に書いてある商店街と同じ名前の商店街名に気が付き、東に曲がることを決める。ここで2人くらいに抜かれた気がするけど気にしない。

蛇足だが、今回は競技開始前に地図を配られたら見ても良かったので、この辺は最初にプランした一番嫌な場所だった。こういうところで迷うと、ひどい目にあう。なお自分のナヴィゲーション能力では走りながらこのプランは無理。

信号待ちで🐧先輩にあい、その後歩測のカウンターずれててオーバーランしそうになるも、並走してた🐧先輩がCPの写真撮ってるとこに戻り返してゲット。

f:id:AjariCalender:20191124062749j:plain

こういう見つけ方はラッキーなんだけど、CP見つけたウキウキ感は半減。「あーあ、🐇に教えちゃったよ。」という🐧先輩に内心「俺のウキウキ返せ!」と思う。しばらくぐるぐるする羽目になっても、自分で見つけた時のウキウキ感は捨てがたい。

4→5はマナー的な反省レッグ。

このレッグは簡単で、コンパス直進してまっすぐたどり着いた。(そもそも一本道)。ただ、途中の道路でちょっと離れたところに横断歩道あったのに、信号が変わったタイミングで、自転車のおじいちゃんにつられてそのまま渡って行っちゃう。

f:id:AjariCalender:20191208100814j:plain

撮影:Club阿闍梨 柏樹さん

あーあ、あいつあそこで渡っちゃったよ。」と🐧先輩が言っていたのが想像できる。横断歩道をちゃんと渡らなかったことを後で反省。(後で某SNSのやり取りで気が付く)。しかも、上記の写真をあとから来た🐧先輩に写真撮って貰うタイミングで車が数台通過するのを待ち無駄に数分使う。なんとなく古地図競技感を出したいので写真をセピア色にしてみる。

5→6

🐧先輩とわかれたあと、歩測の精度が低すぎるのにうんざりして、歩測のカウンターをストライド1.25に変更。(つまり40カウント100mに変更)。

ちなみに🐧先輩より走力は上だけど、ナヴィゲーション能力は圧倒的に低い🐇はCPごとにルートを悩んで唸ってるので基本見送る形となる。🐧先輩は競技スタート後にプランしながら走っているので並走しているように見えて実力差が激しい。単純な体力勝負じゃないところが楽しさだが、トップ選手はこれに普通に速い走力で走るので超人すぎる。もうトリビアがいくつあってもどうにもならない、「泉よ湧け!」もっとナヴィゲーション能力を磨こうと思う。

レッグ線(ピンクの線)方向に強引にコンパス直進しようとしたら抜ける道がなかったので、自販機でアクエリアスを買い、給水しながら落ち着いて考え、一旦北側にでて沢からアプローチするルートを選ぶ。

f:id:AjariCalender:20191123181642j:plain

坂を下り、実際に川が残っているところを超えたところまで行き(2つめの赤い点の少し先)、行きたい方角に真っすぐ通っていそうな道を選んで、さらに保険でコンパス直進も行い、地形の変化があるところまで歩測でカウントしながら移動。

その先は、地図上は沢を詰めていくのがよさそうに見えたのだが、手前まで行ったところで綺麗に沢に入れそうにないので台地の上にのり、左手が地形的に落ちているのを見ながら走る。沢に入れる箇所がないまま左手が平らになったのを確認したあたりで、小学校を超え、再度沢になっているところを探そうと真っすぐ進むと、お寺裏のお墓にでる。(平たく書いていますが「やべぇ、沢にマンションが生えてて入れねぇ。」とか「ひぇぇ地形の特徴消えた。」とか心の中で呟いてます。)

その先から沢の跡に入ることができたので、沢からアプローチして距離を測って左(西)に。ちょうどCPに向かう道にのれたようで、公園の緑が見えた時に嬉しくなるも、広い公園で見つかるか不安になりつつも、なんなく見つかりホッとする。

f:id:AjariCalender:20191124063711j:plain

*CPの写真は反対側だけど、木々が映ってる写真を掲載。

この辺はほぼ未知のエリアだったので、綱渡りながらもうまくナヴィゲーションができているが、この後のっぺりエリア第2弾がくるのでアクエリアスを飲みながらプランを練る。公園の入り口から並走していた選手が先に行くが、気にしない気にしない。

こんな感じで、精度の高い現代地図とスマホを使えば、迷うことなんてほとんどない都心部で、古地図とコンパスを使った綱渡りなナヴィゲーションが続きます。 

次回、
・🐇エイミングオフに成功する。
・🐇スタート時にまだ会場で「古地図オリエンテーリング」の競技説明をしてたはずの村越先生に追い抜かれる。
に続きます。